●情報BOX登録No.9702B103

   タイトル: 人事・労務問題相談室
   
労基旬報第1019号(平成9年2月25日)より


日常の職場で起こった人事・労務の法律実務や取扱い上の疑問に専門家がお答えしたものです。


1年変形労働時間制において、計画年休を休日とみなせるか?
4月から施行に移される週40労働時間制を休日増による1年変形労働時間制でクリアするため、そのうちの5日を計画年休でまかないたいと考えています。計画年休は予め休む日が決まっているのですから、そうした取り扱いでも差し支えないと考えるのですが、どうでしょうか。(神奈川・G工務店)


ご質問の趣旨は、週休日に加え国民の祝日あるいは会社創立記念日などを休日とすることで、年間100日を休日とする目途がついたものの5日足らないので、その分を計画年休でまかないたいというものだと理解できます。なるほど、年休日(年次有給休暇日)には労務が提供されず、加えて計画年休の場合はその日が予め決められているのですから、休日とみなしてよいのではないかとの考えにも無理からぬものがあるといえます。しかし、休日と年休では法的性格が全く異なります。休日は、労働契約上労働義務のない日であり、対して年休日は労働義務のある日に有償で労働義務を免除される日のことをいいます。
そうすると、既に見たように、年休日には本来労働義務が設定されているわけですから、それを与えても所定労働時間が短縮されるといえないことになります。計画年休も本来的な労働義務の存在という基本的性格に変わりありませんから、一般年休と同様に考える以外にありません。
貴社が1年変形制で週40時間労働をクリアするためには、5日の休日を新たに設けることが必要です。 



定年退職者の一括年休対策
定年退職日を誕生日の属する月の末日と定めていますが、誕生日の翌日からその月末までは年休を与えないとする取り扱いはできないでしょうか。(東京・W証券)


ご質問の趣旨は、本来誕生日の翌日で定年退職となるものを便宜的にその月の末日まで労働契約を継続しているのだから、本来の定年(誕生日の翌日)以降は年休(年次有給休暇)を与えなくともよいのではないか、というものだと思われます。定年間際の一括年休の取得で事務に支障が生じがちなことなどを考慮すると、そうした考え方にも一理ないとはいえないと思われます、しかし、年休権は基準日(原則として入社日の翌日)には確定的に発生するもので、労働日が存続する以上、法定の時季変更事由がない限り、与えなければなりません。ご質問では実質的な定年日とそれ以降野存続期間を分けて考えているようですが、それは使用者の観念上のものにとどまり、制度上の定年は誕生月の末日と解さざるを得ません。ですから、誕生月の末日までに請求された年給は前述の法定拒否理由がない限り与えなければなりません。
ただし、事務引継の支障を防止する観点から、定年退職日から遡る2週間(辞職の場合に申し出から効力が発生するまでの期間)のうちの所定労働日の出勤を義務づける(出勤しなければ退職金を合理的な範囲で減額する)程度の規制は可能だと考えられます。退職金請求権は労働契約に基づいて生じるものですから、その減額事由を就業規則で定めることも合理性があれば有効だと解すべきだからです。



定年退職者の処遇で、委任契約の利点は?
定年退職者の処遇で、再雇用するよりも委任契約とする方が労務管理などで都合がよいと聞きました。委任契約にすると使用者にどのようなメリットがあるのでしょうか。(青森・T交通)


労務供給契約には、雇用(労働)契約の他に請負契約と委任契約があります。ご質問の委任契約は一般に業務委託契約(民法656条)と呼ばれているもので、実態がそのようなものである限り、原則的に労基法などの労働者保護法の規制を受けず、社会・労働保険に加入させる必要もないことになります。(使用者負担分の保険料を免れます)。労働者保護法や社会・労働保険は被用者(労働者)に適用されれるからです。
「使用者に好都合」とはそうしたことを意味しているのだと思われます。
しかし、労働契約の該当性の判断は実態的に行われます。具体的には業務委託として契約を整えても、使用者の指揮命令下に労務を提供していると認められれば「労働契約」として取り扱われることになります。実際上。業務委託できるのは指揮命令を要しない自律的業務に限られます。





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