●情報BOX登録No.9702B101

   タイトル: 人事・労務問題相談室
   
労基旬報第1017号(平成9年2月5日)より


日常の職場で起こった人事・労務の法律実務や取扱い上の疑問に専門家がお答えしたものです。


1ヵ月変形労働時間制での女子の時間外労働時間規制について
一カ月変形労働時間制での女子の時間外労働規制について、 お尋ねします。 当社は非工業的業種ですので、 規制単位は4週間ですが、 その間に40時間を超す所定労働時間の週があります。 その場合、 女子については、 40時間を超えた時間について法定の時間外労働の枠に納める際にカウントしなければならないとの意見があり、 逆にその所定労働時間を超えても、 8時間以内の場合はカウントする必要がないと主張する者がいます。 どちらの考え方が正しいのでしょうか。 (京都・N呉服)


非工業的業種における女子の時間外労働は、 4週間について36時間、 1年について150時間を超えてはならいないとされています。1カ月変形労働時間制は、 1カ月以内の一定期間を平均して、 週当たりの労働時間を40時間以内に収めるなら、 予め特定された日、 週については法定労働時間を超えて働かせても労基法違反とせず、 また時間外労働と取り扱わなくてもよいというものです。 したがって、40時間を超える所定労働時間が定められている週については所定労働時間の範囲内である限り、 時間外労働が生じることはありません。
 一方、 ご質問の後半部分 「40時間を超える週の所定労働時間を超えても8時間以内なら女子の時間外規制の対象とならいない」 との考え方もすでに述べたところから適切でないことは明らかです。 そうしたケースは、 たとえば1日7時間30分で週6日労働と定められている週に1日もしくは複数日について30分残業させることで生じますが、 1日では法定内に収まっても週単位では法定内に吸収される限界 (45時間) を超えますから、 全て時間外労働となります。



希望退職の手続きは?
希望退職を実施せざるを得なくなりましたが、退職手続きはどのようにしたらよいのでしょうか。特別に留意すべきことがあれば教えてください。(東京・Fリース)


希望退職は一般の退職とは異なった特別の手続きが必要だと考える向きが少なくないようですが、一般的な手続きで差し支えありません。法的には労働契約の合意解約に当たるからです。
使用者の希望退職を募る意志表示は、合意解約の申し出に当たり、これに対する労働者の応募は受諾となります。合意解約は一種の契約(退職契約)ですから申し込みに対する受諾で法律効果が生じます。本来は退職届などの書面の提出は必要ないものです。
このように、希望退職も一般の合意退職同様、労使の意思の合致で法律効果が生じますが、退職金が上積みされるなど、一般の退職と異なる取り扱いがされるのが普通ですから、書面化しておいた方がよいかもしれません。その場合、労働者の退職届には「希望退職に応募する」旨明記するのがよいと思われます。
また、希望退職の場合、後になってから労働者から脅迫による意思表示で無効だなどと主張されることもないとはいえませんから、労働者の自由意思であることの証拠として退職届の提出を求めることが必要ともいえます。希望退職手続きの雛形がないかと聞かれることがありますが、法律的には合意解約であるため必要もないのです。労働者の自由意思であることが明確なら形式にこだわることはありません。



移籍で賃金ダウンとなる場合、どうなる傷病手当金?
傷病手当金を受給して休業中の労働者を関連企業に移籍することになりました。賃金がかなりダウンしますが、傷病手当金も引き下げられるのでしょうか。(岡山・L精鋼)


ご質問のケースは、法律的に見ると貴社を退職し、関連企業と新たな労働契約を結ぶことになります。こうした場合、資格喪失後も法定期間は従前の傷病手当金が支給されることとの関係上、傷病手当金を減額しないのが妥当なようにも思われますが、行政解釈はそうではありません。新たな賃金に基づいて算出される標準報酬日額の6割が支給されることになります(厚生省保険指導課)。これは、健康保険法45条の「傷病手当金トシテ一日ニツキ標準報酬日額ノ百分ノ六十ニ相当スル金額ヲ支給ス」を忠実に解釈した結果のようです。
資格喪失後の取り扱いとの関連で不公平のように感じられないでもありませんが、賃金アップの場合は傷病手当金も上がりますから妥当な解釈といえそうです。





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