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| タイトル: | 人事・労務問題相談室 | ||
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| 労基旬報第1016号(平成9年1月25日)より |
| 日常の職場で起こった人事・労務の法律実務や取扱い上の疑問に専門家がお答えしたものです。 |
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四月からの週四十労働時間制への移行で、中小零細企業に対しては二年間は法定労働時間を達成できなくても法違反として摘発されることはないと聞きました。当社は現在所定労働時間が四十四時間ですが、零細規模で経営状態が厳しいため、できれば短縮したくないのですがかまいませんか。(東京・S縫製)
ご質問のように「二年間は法違反として摘発されることはない」との受け止め方が中小零細企業経営者の間に流布されているようです。たしかに、労働省は重大悪質な違反を除いては摘発を差し控える方針のようですから、違反しても直ちに罰則の適用を受ける可能性は少ないといえます。
しかし、それは労基法の行政取り締まり法としての効力の発動を控えるにとどまり、労基法のもう一つの機能である私法上の効力に及ぶものではありません。 労基法13条は労基法の各条が私法的効力を持つことを明らかにしていますから、仮に就業規則の所定労働時間を四十四時間のままに据え置いても労働契約上の労働時間は自動的に四十時間に短縮されてしまうことになります。
そして、もし労働者が四十時間を超える労働時間は時間外労働だから割増賃金を支払えと裁判所に訴えた場合、この場合の残業算定の基準は労基法によって短縮された四十時間となり、それを超えた時間は時間外労働と取り扱われざるをえません。しかも、割り増し賃金単価は短縮された所定労働時間で算出されますから、当然従来より高くなります。
つまり、摘発されないからといって法定労働時間遵守の努力を怠って漫然と従来どおりの労働をさせていると、賃金コストの急速な増大を招くおそれがあるといえるのです。
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あるパートタイマーから賃金(賞与)の一部を辞退したいとの申し出を受けました。そうした方が税金で有利になるので得をするというのが理由です。パートの意向に沿っても賃金不払いで罰せられることはありませんか。(京都・Q製薬)
現在の税制では被扶養者(主婦)の年間給与所得が103万円までは非課税で、これを超えると課税させるとともに夫の所得の配偶者控除もなくなりますから、ご質問の申し出がなされたものだと思われます。
ところで、労基法24条は賃金の全額払いを義務付けていますので、パートの要請だからといって賃金を支払わなければ罰せられるのではないかとの疑問はもっともだといえます。賃金(賞与)の計算期間を働いた場合、労働者は確定的な請求権を取得することになるからです。
しかし、法律上、確定した請求権を放棄すること(民法519条の「免除」は格別禁じられているわけではありません。パートタイマーが真意に基づいて賃金の一部を放棄するならそのことによって賃金請求権は消滅しますから、支払わなくても賃金全額払いの原則に違反することにはならないと思われます。
最高裁は、労働者からの退職金の放棄の意志表示を理由に支払わなかった事件で、請求権が消滅するので、退職金を支払わなくても賃金全額払いの問題にはならないと判断しています。
したがって、ご質問でもパートの意向に沿っても違法となることはないと思われます。ただ、税法上の疑問が残りますが、税は実際に得られた所得に対して課されるものですから、この面からも違法とはいえないと考えられます。
とはいっても、労働の成果として発生した賃金を支払わないことは違和感が残ることも事実です。
ご質問のようなケースは税法の不備から起こるともいえますが、現状では非課税限度額を超えない働き方を指導することが適切ではないでしょうか。
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