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| タイトル: | 人事・労務問題相談室 | ||
|---|---|---|---|
| 労基旬報第1006号(平成8年10月5日)より |
| 日常の職場で起こった人事・労務の法律実務や取扱い上の疑問に専門家がお答えしたものです。 |
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子会社の設立予定に伴い、 就業規則の作成が必要となりました。 その内容の一つとして 「遅刻3回で1日の欠勤とみなす」 旨定めて勤務態度のゆるみを防止したいと考えているのですが、 法律的に問題があるでしょうか。 (東京・Qソフト販売)
ご質問のような取り扱いを定めている就業規則もあるようですが、 法的にはかなり問題があります。
というのも、 ケースによっては労基法の減給制裁の制限(別掲条文参照)に違反するおそれがあるからです。
使用者は労務の提供のなかった時間分については、 賃金の支払い義務がありません (ノーワークノーペイの原則) から、 たとえば1日所定労働時間が八時間の場合に1回の遅刻が2.7時間を超える場合には3回 (8.1時間) で一日の欠勤として一日分の賃金を控除することには何ら問題がありません。
しかし、 一般的な1日10分、 15分などの遅刻が3回重なったケースで考えると明らかに使用者が控除できる賃金の額を超えてしまいます。 たとえば、 所定労働時間が8時間で、 1日10分の遅刻が3回重なったケースを1日の欠勤とみなすと、 7時間30分について法的根拠なく賃金を控除することになり、 違法とされざるをえません。
実際の遅刻時間を超えて賃金を控除することは懲戒処分の一種としての減給の制裁と取り扱うことになりますが、 その額は別掲条文に明らかなように1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることは許されません。 そして、 ご質問のように 「遅刻3回」 とグルーピングすると、 3回の遅刻で1回の懲戒対象行為と見るのが一般的な考え方です。 この考え方からすると、 ご質問の仕組みは1回の懲戒対象行為について1日分の賃金を控除することですから、 平均賃金の1日分の半額を超えて減給することになり、 一般的なケースでは違法となります。 3回の遅刻時間を合計したものが半日 (4時間) 以上になるケースではその時間をノーワークノーペイ原則で処理し、 半日分の賃金 (厳密には平均賃金の半額) を減給制裁とする趣旨なら違法とはいえませんが、 実務ではそうした事態が生ずるのは希れでしょう。 したがって、 ご質問のような取り扱いをすると違法になるケースが多いと見なければなりません。
もっとも、 ご質問のような就業規則の表現にかかわらず、 1回の遅刻が1懲戒事由に当たると解釈し、 平均賃金の1.5日分の減給制裁ができる (0.5×3) のに1日分にとどめるもので適法だとの考え方もありますが、 かなり無理な解釈です。 それならいっそ、 1回の遅刻に平均賃金の0.5日分を控除する、 もしくは3回の遅刻で半日の欠勤とみなす旨定めた方がよいでしょう。
こうした理由で、 3回の遅刻を1日の欠勤とみなす定めには賛成しかねます。
労基法第91条 「就業規則で、 労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、 その減給は、 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、 総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」。
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退職を申し出た労働者が、 自分のメモに基づいて多額の時間外手当を要求してきました。 そのまま認めなければなりませんか。 (大阪・T商会)
時間外手当の対象となる労働は、 使用者の指揮命令下になされたものであることが必要です。 労働者が所定終業時刻を超えて自発的に労働しても、 指揮命令に基づかなければそれは法的な意味での労働といえず、 時間外手当の対象にはなりません。 ただ、 管理者がそれを知りながら見て見ぬふりをしていた場合は黙示の指揮命令があったことになり、 時間外手当の支払い対象となります。
ご質問の文面だけでは黙示の残業命令があったか否かわかりませんが、 労働者は長期の残業を主張しているようですから、 管理者が全く関知していなかったと見るのは難しいでしょう。
その場合、 労働者のメモどおり時間外手当を支払う必要がないのはもちろんです。 仮に黙示の時間外労働命令があったとしても、 手当の支払い対象になるのは客観的に労働した時間だけであり、 労働者のメモどおりに労働がなされたか否かはわからないからです。 裁判になった場合はそのメモの真実性について労働者に立証責任が負わされますが、 これまでそのまま認められた例はほとんどありません。
そこで、 企業の実務としてはその労働者がこなしてきた仕事の質・量などを参考に話し合いのうえで妥当な時間外手当の額を探り、 支払うのがよいでしょう。
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地元の大学から、 いわゆるインターンシップ制についての協力要請がありました。 インターン学生を受け入れる方向で検討していますが、 ケガをした場合などは労災保険の適用を受けられますか。 (静岡・D精密)
インターンシップ制度は、 学生が在学中に一定期間企業で実際に働いてみて適職選びに役だたせようというものです。 正規のカリキュラムとしている大学も出てきており、 労働省も推奨の方向にありますから今後普及しそうです。
ところで、 この制度における 「働く」 の実質は 「研修」 であり、 原則として無給ですから受け入れ企業と学生は労働関係に入りません。 アルバイト学生がたとえ1日働いた場合でも労働関係に入るのと大きな違いです。 そして、 労災保険は労働関係にある労働者に適用されるものですから、 インターン学生がケガなどをした場合労災保険の保護を受けるのは困難です。 労働省も対応策の検討に入るようですが、 現在のところはインターン学生には労災保険の保護がないことを認識しておく必要があります。
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