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| タイトル: | 人事・労務問題相談室 | ||
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| 労基旬報第1001号(平成8年8月5日)より |
| 日常の職場で起こった人事・労務の法律実務や取扱い上の疑問に専門家がお答えしたものです。 |
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嘱託社員を関連会社へ出向させたいのですが、@正社員でないので出向させることには法律的問題がありますか。A仮に出向を命ぜられるとして、当該出向社員が出向先で仕事中に交通事故を起こした場合などには当社が責任を負わなければなりませんか。
以上2点についてご教示ください。(福岡・P食品)
労働者の身分によって出向させることができないということはありません。出向は、自社の社員としての地位をとどめたままで出向先社員としての地位も取得させ、その指揮命令の下に労務を提供させることですから、法律的には正社員であろうと、嘱託、パートなどの身分の者であろうと、労働契約上の根拠があるか本人の同意があれば実施できます。ただ、労働契約上の根拠となる就業規則の出向義務づけ条項で正社員だけを対象としている場合は、嘱託などの非正社員を出向させるには本人の同意を得る以外にありません。これは、労働契約が一身専属的性格のものであるため、使用者の一存で労務の提供先を変更することはできない(民法第625条)ためです。この一身専属性から、出向義務付け条項にも、@出向先の特定、A基本的労働条件の明示、などが含まれていることが必要だと理解されていることにも留意が必要です。
さて、本人の同意か労働契約(就業規則)上の根拠があれば、嘱託などの非正社員も出向させることができることが明らかとなりましたので、次に2番目の当該社員が出向先の労務に従事中に交通事故などで第3者に加害行為をなした場合の責任の所在について考えてみましょう。
民法第715条は、労働者が業務の執行について第3者に損害を加えた場合は、使用者はその損害を賠償する責任を負うと規定しています。出向の場合はすでに述べたように、出向元(貴社)も出向先ともども使用者としての地位に立ちますから、この規定をそのまま読むと出向元・先の両者とも使用者責任を負うと理解できないこともありません。
しかし、使用者責任は、業務の執行についての加害行為に伴って生じるものですから、当該業務について実質的な指揮命令権を持つ者(出向先)が原則として負うべきであり、単なる法律上の使用者の地位にとどまる出向元には及ばないと解すべきだと思われます。
同条では、当該業務を執行する労働者の選任と監督について相当の注意をしたにもかかわらず、加害行為がなされた場合の使用者の免責について定めていますが、選任や監督は出向労働者を指揮命令する出向先でなければできないからです。
出向者に運転適性がないのを知りながら出向先に告げなかったため交通事故が起きたなど特別の事情がない限り、貴社が出向労働者の第3者加害に責任を問われることはないと考えてよいと思われます。
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10月の採用内定通知者にパソコンの通信教育を義務づけてもかまいませんか。また、成績不良者は来春の入社日までに内定を取り消してもよいでしょうか。(東京・T設計)
採用内定の通知で会社と応募者(学生)の労働契約が成立する、と一般に理解されています。
法律的には内定者は卒業を待たずに労働者であるという側面を持つことになります。そして、会社は労働力の良質化のために仕事に関連した教育を命じられることに疑いはありませんから、内定者に教育訓練の受講を義務づけることには何らの支障もないと理解されがちです。しかし、内定者に労働契約上の地位が認められるのはし意的な内定取り消しから保護するためで、実際の就労は予定されていないことに注意が必要です。
教育訓練の受講命令は労働契約(就業規則)上の根拠が必要ですが、就労が予定されていず、また、学生の身分を持つ内定者に義務命令として発動することには理論的、実際的な無理があります。
しかし、内定者が同意するなら特約により教育訓練を義務づけることに法的な障害はありません。内定通知時に教育訓練の受講について特約を結べば実施できると考えられます。
パソコン教育の成績不良者を内定取り消しできるか、については否定的に考えるべきでしょう。内定取り消しにも「社会通念上相当な理由」が要求されるところ、労働契約に根拠を持たない入社前教育における成績不振がそれに当たるとは考えにくいからです。
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会社主催の慰安旅行で走行中のバスが急ブレーキをかけたため、数人の労働者がケガをしました。当日は所定労働日で費用は会社持ちでした。業務上災害として労災保険の保護を受けられますか。
労災保険の給付は、原則として業務に伴ったケガや疾病についてなされます。
事業の運営に社会通念上必要とされる運動会などは、一定要件を満たせば業務に準じて取り扱われますが、慰安旅行、懇親会、宴会などは一般的に業務との関連性が弱いため、たとえ会社主催のものであっても、業務性を否定されているのがこれまでの取り扱いです。
この種の催しで業務性が認められるのは、世話役(庶務・総務課員などに多い)が自己の職務の一環として参加する場合に限ると理解されています(労働省「労災保険・業務災害及び通勤災害の理論と実際」)。
会社主催の慰安旅行で船から転落死した労働者のケースで、「会社主催のものであるにしても労働者にとって業務外の催しと解するのを相当としているから・・・業務外である」とした解釈例規(昭・22・12・19、基発516号)があります。
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