厚生年金の受給手続き

(2007年5月11日)

厚生年金の受給手続きに関し、年齢に対応した準備等を整理した。
              
◆ 厚生年金の支給開始について
  年金の支給開始年齢は65歳に向けて引き上げ中であるが、1953年4月1日以前生まれの男性は、60歳から老齢厚生年金(報酬比例分)が支給される(女性の場合は、1958年4月1日生まれまで)。60歳からの年金受給に向けての準備に関し整理した。
  なお、年金の支給開始年齢の引き上げに関しては、次を参照。⇒ サラリーマンの年金支給が始まる年齢
              
厚生年金の受給に向けての準備
年齢内 容対処等
50歳〜年金額の試算が可能になる●必要であれば、社会保険事務所に対し試算を依頼する
58歳社会保険業務センターから年金加入記録通知が届く
58歳になって3カ月後
●年金記録に漏れや誤りがないかチェックする
60歳裁定請求書が届く(60歳になる3カ月前
勤務期間が1年未満のため65歳からの支給となる人や、加入期間が25年に満たず受給資格がない人は、その旨の通知が届く
●年金加入記録を再度確認した後、請求(申請)用紙に必要事項を記入し、戸籍や住民票を添付の上、社会保険事務所に持参又は郵送する
裁定請求は誕生日の前日以降から可で、戸籍や住民票を添付する
●請求が遅れても5年間は遡及して支給されるが、金利はつかない
60歳後年金証書が届く
請求後約3カ月で支給が始まり、以降は偶数月に前月と前々月分が支給される(60歳になった月の翌月分から支給)
(注)退職後に失業手当を受けると、その間の年金は支給されない
65歳社会保険庁から「国民年金・厚生年金の老齢給付裁定請求書」が届く
(注)繰下げを希望する場合は、その旨を指定し、年金受給時期に改めて受給手続きを行う
●厚生年金の支給調整に留意
退職後、継続雇用等で勤務する場合、一定条件以上の勤務(常用労働者の3/4以上の勤務)の場合は社会保険に加入するが、その場合は、在職老齢年金となり、受ける給与額により厚生年金の支給調整がなされるので、留意する。⇒在職老齢年金の概要(早見表)はこちらを参照
●年金の名称について
年金支給開始は、従前の60歳から後ろ倒しされ、現在65歳となり、その経過措置がとられている。
@経過措置がとられている間(60歳〜65歳になるまで)の年金は、厚生年金は「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」、基礎(国民)年金は「定額部分」といい、それが65歳に到達後、厚生年金、基礎(国民)年金に名称が変わり、年金は厚生年金保険と国民年金から支給される。
即ち、報酬比例部分 ⇒「老齢厚生年金」として厚生年金保険から支給、定額部分 ⇒ 大半は「老齢基礎年金」として国民年金から支給される。
「定額部分」と「老齢基礎年金」は、計算方法が異なり、「定額部分」が「老齢基礎年金」より多い場合があり、65歳からの年金額が減ってしまうことがある。この場合、減った部分を埋めるための加算として厚生年金保険から「経過的加算」が支給され、原則として65歳以前と以後の年金額は同額となる。
A65歳まで支給される「報酬比例部分」は、65歳以降の満額と比較するとほぼ半額の水準。
           
厚生年金の繰下げ、繰上げにどう対処するか
基礎(国民)年金には従来から繰下げ、繰上げの制度があるが、厚生年金についても2007年4月から繰下げ制度が始まった。さて、どう対処するか、慎重に考える必要がある。
(1)繰下げは、本来は65歳から受給する年金を、66歳から70歳までの間で自由に決めることができ、1カ月繰下げれば、その後の年金はずっと0.7%増える。⇒下表
(2)厚生年金に原則20年以上加入した人に65歳未満の配偶者がいた場合、「加給年金」(年金制度上の一種の家族手当)が支給されるが、繰下げを選択すると、その期間中は加給年金は支給されない。
(3)65歳以上で継続勤務している場合、給与の額に応じて厚生年金が減額されるが(在職老齢年金)、この人が繰下げを選択した場合、繰下げによる割増しの対象になるのは、減額されて支給される部分であり、減額前の本来の年金額全体に割増率がかかる訳ではない。
(4)いずれにせよ、繰上げ、繰下げのどちらが有利かは、いつまで生きるか次第であり、年金制度そのものの変貌も当然にあることを前提に、それぞれが考えることになる。
65歳以前の場合
【例】1947年4月2日〜1949年4月1日生まれの男性の場合:

通常の受給パターン
60歳前60歳61歳62歳63歳64歳65歳以降
      厚生年金
↑65歳までは報酬比例部分のみ
  基礎年金
64歳からの分は定額部分のみ↑
上記で、基礎年金を繰上げて受け取る場合:
@定額部分を残して基礎年金部分を一部繰上げる方式と A定額部分を残さずに基礎年金を一部繰上げる方式 がある。
厚生年金に繰上げはない。なお、加給年金や経過的加算は省略している。
60歳前60歳61歳62歳63歳64歳65歳以降
      厚生年金
減額された基礎年金
65歳以降の場合
通常の受給パターン
65歳前65歳以降
報酬比例部分厚生年金
定額部分基礎年金
【1】厚生年金のみを繰り下げるパターン
65歳前65歳以降
報酬比例部分    増額した厚生年金
定額部分基礎年金
【2】基礎年金のみを繰り下げるパターン
65歳前65歳以降
報酬比例部分厚生年金
定額部分    増額した基礎年金
【3】厚生年金、基礎年金の双方を繰り下げるパターン
厚生年金と基礎年金を別々に、受給開始時期に差をつけることも可
65歳前65歳以降
報酬比例部分    増額した厚生年金
定額部分    増額した基礎年金
【繰上げの減額率と繰下げの増額率】
65歳時点の年金額を100とし、●繰上げは1カ月ごとに0.5%額が減る ●繰下げは1カ月ごとに0.7%額が増える

これを表にすると、次の様になる。
60歳61歳62歳63歳64歳65歳66歳67歳68歳69歳70歳
7076828894100108.4116.8125.2133.6142


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