月刊ビジネスガイド 99/3月号(99/02/10発売)寄稿
(c) 株式会社ビークライン 1999
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あなたの会社の外注先は遅れてないですか?
ネットワークシステムによる総務のアウトソーシング
株式会社ビークライン 植原秀夫
はじめに 筆者は、総務事務のアウトソーシングビジネスを開始して7年、アウトソーサー(業務受託者)と称される会社を経営しています。今、アウトソーシングが注目を集めていますが、本稿はサービスを提供する立場から、どの様な形でアウトソーシングサービスを行い、また行おうとしているかを述べたいと思います。
1.アウトソーシング元年 パラダイム・シフト
「経営改革」「優勝劣敗」が企業経営のキーワードとなっています。この言葉通り、企業経営のパラダイム(思考の枠組み)は大きく変わりつつあります。
従来のアウトソーシング(経営資源の外部活用)は、IT(情報技術)業務または労働代替業務が中心でしたが、米国ではリエンジニアリング(事業の再構築)の一環としてアウトソーシング導入が活発化し、目下の特徴は「IT+業務ノウハウ」分野への拡大が加速度的に起こっています。最近報じられた事例としては、デュポンのアンダーセンコンサルティングなどへのIT部門の全面委託、シティバンクのAT&Tへのデータ・ネットワーク・システムの移管などがあげられ、単品業務の外部活用ではなくなっています。日本でも、以前から電話受付、社員食堂の運営、車輛の運用、清掃、警備などの分野は外部委託が一般的でしたが、従来は社内業務と考えられていた業務分野にも及びつつあり、アウトソーシングの意味合いが以前とは大きく変化してきています。
従前のアウトソーシング=IT業務 or 労働代替業務 ⇒ 今後のアウトソーシング=IT技術+業務ノウハウ分野コア・コンピタンス
この背景には、目下の激変を強いる事業環境下で、コア・コンピタンス経営の徹底が不可欠であるとの考えがあります。自社のコア・コンピタンス(企業の競争力の根源となり得る機能・業務)を認識し、それを強化するために自社資源の最大活用を行うことは、言葉を変えると、コア・コンピタンスにかかわらない事業、機能、業務は、外部の力を有効活用することに他なりません。
日本と米国のアウトソーシングを比較し、「日本は10年遅れている」という話がよく出ますが、逆に言えば、日本は米国ほどシビアな環境に置かれていない、或いはシビアと認識していないことの裏返しかも知れません。
アウトソーシングの分野は、既に施設管理、情報システム、物流、生産工程等の多岐にわたっていますが、最近の各種調査では、今後利用したい分野として「総務・人事」分野をあげる企業が増えています。「総務・人事」のアウトソーシングとしては、教育研修、給与計算、人事関連、会員制福利厚生等がありますが、以降は筆者の会社で行っている総務事務の内、「給与計算」を中心に述べます。
2.総務事務のアウトソーシング アウトソーシングの形態
総務事務の場合、一般的な形態としては「派遣」「請負」の2方式があります。
┌──┬───────────────────────────────┐ │派遣│オフィスに派遣された派遣社員の労働力を時間で活用する │ ├──┼───────────────────────────────┤ │請負│一定の処理・成果を請負い、担当者がオフィスに常駐する訳ではない│ └──┴───────────────────────────────┘どちらの方式を活用するかは、業務の性格によると共に、それぞれの長所・短所をどう考えるかによります。また、現段階では労働者派遣法の改正が継続審議となっており、当面は派遣対象業務の制約にも注意する必要があります。弊社では、「請負」方式で給与計算、社会保険・労働保険事務、経理記帳業務を行っていますが、現在ご相談が増えているものとして、「オフィス常駐型の請負」があります。これは、ある意味で派遣と請負のメリットを抽出したもので、世の中の一部では既に取り組まれていますが、弊社では今後の検討課題となっています。
コストモデル
企業側のアウトソーシング導入に対する課題の一つに、コスト面の優位性があります。後述の通り、アウトソーシングは低コスト化だけではなく、場合によっては、従来より高コストとなっても大目的である経営改革にどう寄与せしめるか、が導入ポイントであることは論を待ちませんが、現実には目に見える低コスト化の実現を望む経営者・管理者が多いことも事実です。
何をどの様にアウトソースするかにもよりますが、弊社での請負型モデルでは、自社内で処理をする場合とアウトソース活用の場合をコスト比較(モデル)すると次の通りで、社内処理の65%のコストと考えています。
┌─────────────┬──────┬──────┐ │ │ 社内処理 │アウトソース│ ├─────────────┼──────┼──────┤ │役務代替部分 │ 100 │ 80 │ │設備部分(ハード/ソフト)│ 100 │ 50 │ ├─────────────┼──────┼──────┤ │合計 │ 200 │ 130 │ └─────────────┴──────┴──────┘全体で65%となる根拠は、次の通りです。 @アウトソーサーの人的資源はプロフェッショナルであること。 …企業の担当社員は必ずしも当該業務のプロとは限らない。 Aプロフェッショナルが集中処理をすること。 Bハード/ソフトの維持費用が大幅に低減すること。 …社内オフコン処理の場合の維持費用は大なるものがあります。データのやりとり
弊社の現在の主たる処理方式は、顧客から業務を処理するためのデータをペーパーでの送付(郵便・宅配便)やFAX等で預かり、処理を経て、処理後のデータをペーパーやFD(フロッピーディスク)で報告すると同時に、預かったデータを返却する形です。給与計算の場合ですと、例えば勤怠データをタイムカードの形で預かる場合、コピー等で補完しない限り、処理後まで顧客側ではデータが手元にないため、顧客側でデータの確認ができないことになります。それを補うためにコピーをとる場合、人数が多い場合はそれなりの手間となり、タイムカードは表裏があるのが普通ですから、100名の場合はタイムカード表裏がありますから、A4版で計100枚のコピーが必要となります。更に、それを郵便や宅配便で送る場合に少なくとも1日を要します。
また、弊社では業務の途中で顧客担当者がチェックを入れる段階を(顧客が必要とする場合は)設けていますが、同じくチェックデータのやりとりに同じ様に時間がかかります。FAXは、必ずしも印字が鮮明でない場合があったり、顧客側の他の従業員の目に触れることもあるため、必ずしもベストの方法ではありません。
このデータ交換の部分で、お互いに不便を感じたり、業務日程が厳しくなったりという状態となっており、これがアウトソーシングの不自由な部分です。
3.ネットワークによるアウトソーシング VPNアウトソーシング
前記のデータの偏在、データの交換の不便さを克服する方法は「データのデジタル化」であり、「データの共有化」です。これが実現できれば、例え顧客と物理的に場所が離れていても、問題のかなりの部分が解決できる筈です。
データのデジタル化は、例えば勤怠管理を機械化する等の方法で実現は可能です。一番の問題は、データ(情報)をどう共有するか、の部分です。この情報共有化を実現する方法は、ご承知の様に、以前から存在します。互いの間を専用線で結めば良いのです。しかし、コストという問題があります。そこで出てくるのが「VPN(Virtual Private Network )」(仮想専用線網)です。今、インフラとして定着しつつあるインターネットを仮想的に専用線として利用する方法で、専用線に比し、通信費が大幅に安い(概算で1/2)という点に着目する訳です。弊社では、これを「VPNアウトソーシング」と名付け、幾つかの顧客との間でこの方式への切り替えについて協議を行いました。しかし、更に問題が出ました。情報の機密性の問題です。
VPNは、社外にデータを送信する前に一度暗号化し、インターネット経由で受け取った側が暗号を解読する仕組みですが、機密性を100%要求する場合、ネット上のデータに関してはその保証はありません。従って、機密性を求めると、価格アップに繋がり、コスト重視の業務に関しては採用できない、という現実に直面しました。同時に、心理的に「インターネット経由」に不安を覚える人が予想以上に多いことも判明しました。つまり、この方式は、社内の事業所間の常時接続の特定業務には適していますが、必ずしも常時接続ではなく、必要な際に接続すれば足りるという業務の場合、不適当であるということです。
そこで、代替案として浮上したのが、ダイヤルアップVPNです。(コンピュータの専門家ではない筆者にとって、こういう言葉があるのか無いのか定かではありませんので、ご注意ください。弊社流に称しているだけです。)
ダイヤルアップVPNへ
ここで言うダイヤルアップVPNとは、インターネット経由ではなく、電話線を経由して直接サーバ(情報を蓄積したホストコンピュータ)にアクセスすることを指します。
社内LAN(Local Area Network) ┌────────┐ ┌────────┐ │ サーバ ├───────┤ 弊社PC │ └─┬────┬─┘ └────────┘ │ │ 電話線│ │電話線 │ │ ┌───────┴┐ ┌┴────────┐ │ 顧客PC │ │社会保険労務士PC│ (PCはパソコンの略) └────────┘ └─────────┘弊社のサーバに最新データを蓄積することをルールとし、(顧客又は弊社が)PC端末で処理したデータをファイルとして都度サーバにアップロード(データをホストコンピュータへ転送)し、そのデータ(=正データ)を必要の都度ダウンロード(データをホストコンピュータから読み出し)します。この方式は、他の関係者、例えば顧客の複数担当者や社内保険労務士(以下、「社労士」と略称。)などの関係者全員が同じ情報を使用することを可能とします。
顧客は必要な都度サーバに電話経由でアクセスしますので、換言すると弊社が一種の閉じた(=限定した関係者だけの)プロバイダ的な役割を果たすことになります。このため、顧客は外部の者には知らしめない電話番号に電話をしてサーバに接続すると同時に、サーバ内の情報アクセスに対しても当事者以外を拒否する制限を加え、当事者限定の利用とします。インターネットの様に経由ルートが分からない状態ではない直接アクセスであり、且つ当事者間だけでの利用ですから、結果として暗号化の必要はなくなります。FAX送信で文書を暗号化する必要がないのと同じ理屈です。(もっとも、FAXの場合は、電話番号間違いや、関係者外の目に触れる危険性がありますが、この方式はそうしたリスクはありません。)
この方式で機密を100%保つことができるかと問われた場合、世の中にパーフェクトが無いのと同じ程度のリスクはある、としか言い様がないのですが、心理的な面を含め、前記の通常の(インターネット経由の)VPNよりは暗号化を含めコスト面ではるかに優れており、且つシステム構築も容易です。
世の中には、もっと高度な情報共有化手段を実現しているアウトソーサーが存在するかも知れませんが、簡単・コスト安のメリットを考えると、現状ではこの方式に優るものはない様に思います。これは、インターネットのインフラをアウトソーシング用に応用したものです。常時接続を要しないが、必要な都度接続することで事が足りる業務に適用でき、情報共有化を実現することで、スピードと利便性が飛躍的に向上します。現在の弊社は、業務の一部で適用している状態ですが、今後はこの方式に傾斜させていく計画です。(後述)
ダイヤルアップVPNの準備
インターネットやVPNに関する詳細は、それぞれ書籍等で情報を得ていただきたいのですが、ここで言うダイヤルアップVPNは、前記の通り、必ずしも最新の高度技術を用いている訳ではないところに心理的な安心感があります。最新の技術を用いる場合は、運用面での不安(業務用の場合、慎重にならざるを得ません)や、周辺のインフラ(利用ソフト等)に関する不安が大きいのですが、このダイヤルアップVPNは、こうした不安要素は少なく、例えは変ですが、手動式の技術の様な感覚があります。導入に関する準備は次の通りです。
・顧客側=利用パソコンをインターネットに接続できる環境にすること
・弊社側=サーバ構築+電話接続+ネットワーク管理者を用意すること(即ち、電気通信事業者の能力を有すること)
従って、顧客側の当初の出費はゼロに近く(新たなハード/ソフト、設定等は除く)、以降は通信費だけであり、またアウトソーサー側には当初若干の出費が必要(どういうサーバ構築、接続環境にするかで大差がありますが、最低限のものであれば100万円台で可能)ですが、それよりも、ネットワーク管理者の手当が一番のネックになる可能性があります。このシステムを維持する場合、常にサーバを正常に稼働させるべくチェックをし、トラブル発生の場合には早期に修復することが不可欠だからです。
この方式で適用できる業務は、極言すれば顧客オフィス常駐が不可欠な業務以外は全て対応が可能で、弊社では、現在この方式による総務事務アウトソーシングを試行的に実施しており、99年春以降には当方式による「給与計算業務」を本格化させる計画です。何故本格化がこれからなのかの理由は、他の業務も同じですが、次項で述べます。
VPNの鍵
VPNを進めるにあたっての条件として、顧客とアウトソーサーで使用するソフトを共通化させる必要があります。さもなくば、双方のソフトを繋ぐ何ものかが必要となります。弊社での給与計算業務を本格化させる場合、顧客と弊社の他に、社労士も関与してくる関係で、その人達とのソフト共通化も必要です。また、アウトソーサーの立場からは、同種の業務を顧客毎に異なるソフトを用いていたのでは効率が悪くなることからも、ソフト統一の必要があるのです。
市販のパッケージソフトを用いる方法は、一番手軽ではあるのですが、数多く購入する結果となって、ソフト代+メンテナンス料が馬鹿にならないこと、また市販ソフトも(弊社の経験からは)必ずしも機能や使い勝手が十分でないこと、著作権の問題から顧客対応の個別カスタマイズが出来ないこと等から、ネットワーク対応の給与計算ソフトの独自開発が不可欠です。このため、弊社を含む複数アウトソーサーで共同出資の会社を用意し、同社でネットワーク対応の処理に重点を置いたソフトの開発に取り組んでおり、間もなく完成する予定です。
このネットワーク対応ソフトによる事務処理が、弊社のダイヤルアップVPNアウトソーシングの鍵となります。
ダイヤルアップVPNの実践
今後の弊社の給与計算業務は、前述のダイヤルアップ方式をベースに「ネットワーク処理+給与&地方税振込み処理+社会保険・労働保険業務」のセットで実現しようとしています。それぞれのKFS( Key Factors for Success )が、新しいソフト(名称:ERP給与)であり、銀行との提携であり、社労士との連携です。勿論、セットではなく、前記の中の単独業務も可能なのですが、セット化することで、ネットワーク処理の強みを発揮させようという意図です。特に、社労士業務に関しては、社労士の方々との連携が不可欠で、連携することで顧客のコストを給与計算+社労業務で「×2の業務コスト」ではなく、「×1.5の業務コスト」とすることに主眼をおいています。
┌───────┐ ┌───────┐ ┌───────────┐ │ 顧 客 │ │ 銀 行 ├───┤従業員口座、市町村口座│ └───┬───┘ └───┬───┘ └───────────┘ │ │ │ │給与振込データ、地方税振込データ │ │ ┌───┴───┐ ┌───┴───┐ │ サーバ ├───┤ 弊 社 │ └───┬───┘ └───────┘ │ │ ┌───────┐ ┌───────────┐ └───────┤ 社労士 ├───┤関係の役所・健保組合 │ └───────┘ └───────────┘この業務の仕組みを実現させるために、前述の共同出資会社を設けたのですが、同社の目的は、連携する方々(社労士や税理士の方、他アウトソーサーなど)に参画していただき、同社の給与計算インフラ(ソフト+サーバ+業務ノウハウ)を活用して顧客サービスを推進し、日本の総務事務アウトソーシングを加速させることにあります。
現在の日本の総務事務アウトソーシングの課題として、個別のアウトソーサーが様々な意味で力量不足であることが指摘出来ます。これを打破するには、社労士の方を含む各アウトソーサーが結集し、単独では困難なネットワーク化対応に取り組み、顧客サービスとコスト低減を計ることが必要です。
更に、新ソフトを「ERP給与」(仮称)と名付けている理由は、本ソフトを単に給与計算のみに用いるのではなく、社労業務は元より、顧客会社の人事管理等にも用いること、また将来の確定拠出型年金プラン(日本版401k)導入時の記録管理ビジネスへも発展させる目的があり、ERP(統合型業務ソフト)化を予定しているからです。この新ソフト「ERP給与」(仮称)は、企業でも導入していただき(但し、流通ルートでの市販予定はなし)、またアウトソーシングを導入しない場合でも個別企業用にカスタマイズし、システムとして納品することも計画しています。
顧客従業員との直接コミュニケーション
現在の総務事務アウトソーシング業務は、顧客の担当部門・担当者とのコミュニケーションを行うアウトソーサーが殆どです。弊社でも、現時点では、顧客会社の従業員との直接接触は行っていません。理由は、社内情報とアウトソーサーからの情報とを一元管理する、即ち担当部門の機能を損なわない様にするという顧客のニーズがあること、次いでアウトソーサー側も個別の手間がかかることで実施できない、という理由です。
給与計算で例をあげますと、(氏名、住所、扶養家族等の)変更事項の届出・報告、勤怠データの提出、年末調整に必要な資料の提出等は、全て会社の担当部門が一度集約し、集約できたものを弊社が受け取り、不十分な場合は会社担当部門を経由して各部門や各従業員に確認や督促をする、という形です。この場合、担当部門を常に経由することで、結果として担当部門の業務負担はアウトソーシングを導入しても期待した程には減らないということも起こり得ます。全国に営業所がある会社が、各営業所の勤怠データを期日までに集めるために、報告チェックや電話督促などで、相当の時間と労力を費やしている例もあります。期日厳守ルールを徹底させること、口では簡単ですが、どの職場でも一番頭を悩ましている現象でもあります。或いは、営業所のタイムカードの勤怠データを、営業所の担当者が本社に報告するためにパソコンで集計し直し、FAXで送信し、本社で再度入力している様な例は、大手企業でも結構残っているのが実態です。
弊社では、顧客会社との事前調整を前提として、各事業所の業務担当者や個別従業員との直接連絡を可能とする独自のシステムを確保しています。手段として電子メールを用いるもので、DB−Mail(デービー・メール)と呼んでいます。データベースと電子メールを連動させたもので、データベースに従業員情報をメールアドレスと共に登録しておき、必要な相手先を検索して、検索結果の相手に一斉に連絡メール(相手の名前入りも可能です。)を配信するものです。一人の相手を検索する場合もあれば、全従業員を対象にする場合もあり、例え、配信相手の数が多数でも問題はありません。また、必要により、顧客企業との間で当該データベースの共有化も可能な様になっています。
弊社側から顧客従業員への直接コンタクトの場合は、同時にその内容を顧客企業の担当者に同タイミングで報告しますので、顧客側の負担を軽減させることができます。逆に、各事業所の担当者や従業員側からのデータは、電子メールの添付ファイルで送信することで、再入力等の業務を簡便にすることができます。(前述のダイヤルアップVPNを全従業員全員を対象として行うことは、機密管理の上で困難です。)
これを追求していくと、各種業務について従業員の窓口を弊社側で行うことも可能となります。この方式は、顧客企業で電子メールを利用していることが前提条件となりますが、次第に電子メール利用企業も増えているため、今後は総務事務アウトソーシング業務の領域そのものを変えることになるかも知れません。
4.今後のアウトソーシング アウトソーシングの発展段階
今後のアウトソーシングは、顧客企業の経営改革に対して、アウトソーサーが必要な機能・役割をどこまで果たすことができるか、によっています。従前の労働代替型(第1段階)から、今後はITに加えてプロフェッショナルとしての業務ノウハウを提供する段階(第2段階)へ、そして更には、顧客のパートナーとして当該業務の機能全てを代替する段階(第3段階)へと発展していくことは疑う余地がありません。第3段階では、顧客からアウトソーサーへの人の移動も起こり得るでしょうし、現に米国では既に特異なことではありません。日本での人の移籍は、まだまだ制度的にも心理的にも抵抗が強いのですが、弊社では人の受け入れも可能と考えています。つまり、人の受入れを伴う業務の受託です。実現には当然に慎重な検討が必要ですが、企業経営が各種の抵抗感を許容できないものになってきていることも事実です。
以上を俯瞰した場合、コストを求めるアウトソーシングと、経営改革を実現するためにITインフラと業務ノウハウを求めるアウトソーシングに分化していくことが理解でき、企業側にとってはアウトソーシング活用の選択幅が広がっていると言えます。
企業経営がコア・コンピタンスの確立と外部サービスの適切な活用に移りつつある今、アウトソーサーにはITインフラと業務ノウハウを提供する力が、逆に企業側には期待に応え得るアウトソーサーを見抜く目が不可欠となっています。
アウトソーサーのもう一つの課題
最後に、アウトソーサーについて一言述べておきたいと思います。過程としてアウトソーサーの乱立・玉石混交が起こることは致し方ないのですが、健全なアウトソーシング市場の育成を阻害することのないよう、業務担当者のプロ化教育を最重要課題としていただきたいことです。米国では、プロフェッショナルの定義が明確になされており、それは「ある学問体系に裏付けられた高度な技術を、倫理感をもって、依頼主のために活用し、問題解決を図ることで報酬を得る人」であることです。
こうしたプロをアウトソーサー内でどう育成するか、それがITと同様に、或いはそれ以上に重要課題です。専門性を持つだけのスペシャリストレベルを脱して、プロ組織による受託者責任の全うが求められているからです。